くにたち民具案内の授業

まきを一杯に積んだ背負い台をしょう
昔の民具を実際に体験する

今から40年以上前、国立第一小学校(くにたち最古の公立小学校)の父兄がリヤカーで農家の蔵に眠る民具を収集したことが「くにたちの暮らしを記録する会」のはじまりです。当時のメンバーは谷保に嫁がれたお母さんが多かったようですが、今は谷保で生まれ、代々農家を営むご当主ばかり。代々、当たり前にやってこられた伝統行事に必要な技を惜しみなく教えてくれます。収集した民具からは当時の村の生活のたてかた、あるいは生活に対する姿勢が分析されるといった民俗学の権威、宮本常一の教えを守り、谷保の暮らしを記録してきました。

国立の生活しとして図書館に献本されています。
国立の生活誌としてくにたち中央図書館、郷土文化館にありますよ。郷土史資料として生の声がきけて、統計的にも信憑性があります。

記録する会は30年以上前からは、市内の小学校に呼ばれ、谷保の昔の暮らしぶりを紹介してきました。今では地元の全小学校3年生の必修科目となっている民具案内の体験実習。副読本で国立の郷土史を勉強したあとの小学3年生が三学期に必ず受講する科目だそうです。公立8校ばかりでなく、私立3校までが地域の昔の暮らしを体験できるなんて、羨ましい限りです。ってか、郷土史体験を社会科目の一環にするのは珍しいことかもしれませんね。

体験学習は「灯り」の話から始まります。街灯がまったくなかった時代に明かりをどうやって作ってきたか、蜜ろうができるようになってからは明かりをより持続させ、より安全に使えるようにどのように工夫してきたかと明かりの話は続きます。

明かりの変遷を説明する佐伯安子さん。
明かりの変遷を説明する佐伯安子さん。小学校のある地域に合わせた小話も変化に富んでいます。
記録する会の皆さん。農ある暮らしの中で必要な実技の持ち主ばかり。
記録する会の皆さん。農ある暮らしの中で必要な実技の持ち主ばかり。
実家は農家。ご本人は元教員の北島さんからの説明こそ、谷保生まれ谷保育ちの生の声
実家は農家。ご本人は元教員の北島さんからの説明こそ、谷保生まれ谷保育ちの生な体験談。
蜜ろうがでてきた頃に室内で使われていたミニ燭台。フッと風が吹くと火がすぐ消えていた。
蜜ろうがでてきた頃に室内で使われていたミニ燭台。フッと風が吹くと火がすぐ消えていた。
拡散させる。消えにくいし、家紋が入っているので暗闇でも家紋が浮かび、誰が歩いているかわかります。
和紙は風邪をさえぎりつつも空気を通し、ろうそくの火を拡散させる。消えにくいし、家紋が入っているので暗闇でも家紋が浮かび、誰が歩いているかわかります。
筒の中にあるろうそくを立てる台が自在に動くので、振り回しても蝋燭が倒れない。
筒の中にあるろうそくを立てる台が自在に動くので、振り回しても蝋燭が倒れない。

明かりの話から、実体験の時間へ。

洗濯板と真っ白な石鹸を使って、こする。ぷ~んと石鹸の香りが気持ちいい。
たらいと洗濯板と真っ白な石鹸を使って、こする。ぷ~んと石鹸の香りが気持ちいい。
大豆を挽いてきな粉にしてます。こちらもぷ~んと甘い香り。
大豆を石臼で挽いてきな粉にしてます。こちらもぷ~んと甘い香り。昭和初期まで一家に一台あった石臼
昔、雑木林だった国立駅前エリアから薪などを子どもも運んでお手伝い。
クズハキ籠。昔、雑木林だった国立駅前エリアから薪などを子どもも運んでお手伝い。
一台で八人分の運搬ができるところから代八車と一般的に呼ばれているが、谷保では荷車とよんでいた。
一台で八人分の運搬ができるところから代八車と一般的に呼ばれているが、谷保では荷車とよんでいた。
しょいこ。運ぶ量と載せる位置を考えないとバランスがとりづらい。
背負梯子。運ぶ量と載せる位置を考えないとバランスがとりづらい。
今でいうところの担架。声を掛け合って、運ばないと難しいね。
今でいうところの担架。声を掛け合って、運ばないと難しいね。
やってみると難しいワラより。小学生は手が小さいし。慣れてくると楽しい。
やってみると難しい稲ワラを使って縄ない。小学生は手が小さいし。慣れてくると楽しい。
初めはできないワラより。慣れてくると、もっと長くつなげようと引き込まれる。
初めはできないワラより。慣れてくると、もっと長くつなげようと引き込まれる。
作った縄を持って庭園へ。もっと長くすると戻ってくる子ばかり(笑)。
つなげた縄を持って庭園へ。もっと長くすると戻ってくる子ばかり(笑)。

夜の真っ暗闇では何も作業ができません。東京電力も存在しない、マッチやライターができる以前のこと、人はどんな方法で火をつけ、灯したのでしょうか。そして、火がより明るく、より安全に使えるようにと人は様々な工夫をこらして発展してきました。夜、明かりがなければできなかったことも明かりのおかげでできるようになり、暮らしの発展にもつながったということを体感してもらいました。

まずは真っ暗闇に浮かぶ燭台の明かり。怪談話はありませんから!